アサヒ酵母サイエンスプロジェクト

小さな酵母の、
大きな可能性を。

肉眼では見ることができない、小さな小さな酵母。
その酵母の、大きな可能性を、知っていますか?

長年にわたり酵母研究を続けてきた、
私たちアサヒグループ。
そして今、酵母エキスを抽出する工程で生じる
「酵母細胞壁」こそが、
毎日の健康に、そして社会課題の解決に、
大きな可能性を秘めていることを突き止めました。

ビールづくりの単なる副産物、なんかじゃない。
酵母のチカラで、よりよい未来へ。
それが「アサヒ酵母サイエンスプロジェクト」。

私たちは進みつづけます。
顕微鏡の先の、小さな酵母と向き合いながら。

アサヒ酵母サイエンスプロジェクトとは

長年にわたり取り組んできた酵母の研究。
その中で明らかになってきた大きな可能性。
酵母をこの先のアサヒグループの
新しい柱にするべく、
プロジェクト化・事業推進をはじめています。
既存の酵母事業の生産強化を。
さらなる研究開発による新規事業の拡大を。
すべては、酵母のチカラで世界中の健康問題や
社会課題を解決していくために。
アサヒ酵母サイエンスプロジェクトは、
ここから加速していきます。

酵母ってなに?

「酵母」とは、ビールやワイン、ウイスキーなどの酒類、味噌や醤油などの調味料、パンの製造に欠かせない微生物で、私たちの食生活の中で非常に重要な役割を占めています。
また、タンパク質(アミノ酸・ペプチド)、ビタミン、ミネラル、核酸などの栄養成分を含んでいます。

ビール、ワイン、ウイスキー、味噌汁、醤油、食パンのイラスト

About

アサヒグループと酵母

ビールづくりにも必要不可欠な酵母。ビール酵母に含まれる栄養素に着目し、アサヒグループは長年にわたりその研究を続けてきました。現在では健康食品の素材として活用するのはもちろん、良質な飼料としての活用や、培養原料への展開など、その用途は副産物の域を超え、新たな領域へと広がっています。

1930年〜

ビール余剰酵母の製剤化

ビールづくりの役目を終えて取り除かれた「ビール酵母」に含まれる栄養に注目。ビールづくりの副産物の有効活用をスタート。

1966年〜

酵母研究から生まれた「酵母エキス」

酵母から、栄養素やうまみ成分を含んだ「細胞質」だけを抽出した「酵母エキス」を、調味料をはじめ、健康食品や飼料、微生物の培地などに幅広く活用。

2000年代以降

酵母のさらなる活用「酵母細胞壁」

酵母を殻のように覆う「細胞壁」。食物繊維(β-グルカン・マンナン等)やタンパク質が含まれていることがわかり、その活用が期待されています。

2020年代以降

酵母は新たな領域へ

様々な社会課題 ――「食」の問題を解決するための、畜産・水産飼料としての展開や培養肉への活用、そして「健康」の問題を解決するための、健康機能の解明など、酵母ビジネスは新たな領域へ広がっています。

酵母培養→従来の用途としての活用→再利用アップサイクル→培養原料としてリサイクル、の循環を示す図

01酵母エキスってなに?

酵母エキスは酵母の中身を抽出したもの。味わいを豊かにするうま味成分や、さまざまな栄養素が含まれており、天然の調味料として用いられているのをはじめ、健康食品や飼料、微生物の培地など、幅広く活用されています。2010年には、特殊な環境下で培養した酵母がうまみ成分を高含有することを発見し製品化。おいしさの向上はもちろん、減塩やコストダウンなど多彩なニーズに応えられる調味料として用途をひろげています。

酵母エキスは酵母から細胞質を抽出してつくられる。酵母エキスには、昆布などに含まれるグルタミン酸、しいたけなどに含まれるグアニル酸、かつお節などに含まれるイノシン酸、その他にもアミノ酸など味わいを変化させる成分がたくさん含まれています。

02酵母細胞壁ってなに?

酵母細胞壁は、酵母から酵母エキスを抽出する工程で生じる殻・外壁部分です。
これまでは食用として活用されていませんでしたが、アサヒグループ食品は、食物繊維やタンパク質などの栄養素が含まれていることを明らかにしました。健康の問題や社会課題を解決しうる大きな可能性を秘めていると考え、その活用の研究に取り組んでいます。

酵母細胞壁は酵母エキス抽出後の残異物です。

Feature

酵母細胞壁に
期待される機能

01タンパク源

タンパク源

酵母細胞壁の主な構成成分は食物繊維(β-グルカン、α-マンナンなど)やタンパク質であることがわかりました。将来予測される世界的なタンパク質供給量不足に対して、大豆タンパク・乳タンパクを超える第三のタンパク質として可能性を期待できます。動物由来の原料を使用していないため、アレルギーフリーのタンパク源として摂取することができるよう取り組みを進めています。

タンパク質の需要と供給。世界全体で消費されるタンパク質量は増加見込み。飼料用となる穀物の収量増加には限界があるため2025-2030年にはタンパク質危機に陥ることが想定

02腸内環境改善

腸内環境改善

酵母細胞壁を乾燥させることでできる「酵母細胞壁C-DY」には、短鎖脂肪酸3種(酢酸、プロピオン酸、酪酸)を増やすことが研究で報告されています。腸内環境の改善だけでなく、さまざまな健康機能に貢献することが期待されています。

酢酸・プロピオン酸・酪酸の短鎖脂肪酸産生、腸内pH低下・大腸上皮細胞のエネルギー源を通じた腸内環境改善。それ以外にも肝臓の糖新生アップ、脂肪細胞の脂肪蓄積ダウン、食欲ダウン、膵臓のインスリン分泌アップなどの健康機能への貢献が期待されています。

03疲労感軽減

疲労感軽減

酵母細胞壁の摂取によりナチュラルキラー細胞が増加することで、疲労感軽減効果が示唆されています。また、酵母細胞壁を酵素で分解することでできる「可溶性酵母ペプチドYpro」は、肉体疲労の軽減や美容効果などが期待されています。

酵母細胞壁摂取8週目における白血球中NK細胞数の試験開始時からの変化量を示したグラフ。プラセボ群と比較してSP-1用量群が増加する有意差が見られました。出典:Jpn Pharmacol Ther(薬理と治療)vol.45 no.8 2017,1310-30)

04肥料・飼料としての活用

肥料飼料

ビール酵母細胞壁に含まれるβ-グルカンの断片を植物が認識し植物生理を活性化させ、根の生育を向上させることがわかっています。

ビール酵母資材を植物にかけると病気に感染したと勘違いし、植物ホルモンが内生され植物の生理を活性化。発根促進、根の活性向上、吸肥力向上、光合成促進を促し、生育促進、分げつ促進、可食部増大(吸量増加)などの成果につながります。

Future

酵母と酵母細胞壁の
これから

さらなる酵母研究への挑戦

たくさんの可能性を秘めた酵母、そして酵母細胞壁。世界の多くの国で酵母利用商品の認知が50%を超えるなか、日本での認知は30%程度と決して高くありません。しかしながら、昔から日本の食卓には、醤油や味噌など、酵母をつかった食品が並んでいます。(もちろん、ビールも。)親しんでいるはずなのに、まだよく知られていない。だからこそ私たちは、大きなチャンスがあると思うのです。
さらなる酵母研究に挑戦し、さらなる市場拡張に挑戦する。ビジネスとして拡大していくことは、何よりも日本と世界の健康に寄与することになる。これからさらに深刻化する地球上の食糧不足や栄養不足などの社会課題の解決にも貢献できる。そう信じています。「アサヒ酵母サイエンスプロジェクト」のこれからに、ぜひご期待ください。

あなたは「酵母」を使った食べ物・飲み物をご存知ですか。また普段の生活で摂っていますか?という設問への回答を示したグラフです。アメリカ合衆国・イギリス・フィリピンでは認知が50%を超える中、日本での認知度は30%程度。 調査時期:2023年2月 調査手法:インターネットアンケート調査 調査対象:日本、アメリカ、イギリス、ポーランド、オーストラリア、フィリピン、マレーシアに住む20-69歳の男女(フィリピン、マレーシアのみ20-59歳男女)計3,300人 ※設問項目によっては、上記に加え以下に該当する人「植物性代替ミルク飲用経験あり、かついずれかの植物性代替ミルクを月1日以上飲用」 実査期間:アサヒクオリティーアンドイノベーションズ株式会社